アンモシエラ 祝・JBCレディスクラシック連覇

 連敗を乗り越えてJpn1:JBCレディスクラシックを佐賀と船橋で連覇という快挙を達成。過去2頭生まれた連覇馬、ミラクルレジェンドとホワイトフーガに続く3頭目の連覇馬としてJBCの歴史に名を刻んだ。そしてその2頭が達成できなかった3連覇に向けてチャレンジは続く…



 最後の勝利は1年前の同レースJBCレディスクラシック以来と2025年シーズンは苦戦が続き、羽田盃を2着した大井1800mで行われる前哨戦レディスプレリュードで9着と大敗。逃げられないと脆い、しかし進んでいかないという牝馬らしい気難しさを見せ、広尾TCには「ラストランと思って」という扱いをされる始末。※更新後しばらくして近況更新が修正されたため今は見られない
 さらに前をさかのぼってみても、Jpn1馬として最初のレースであるクイーン賞は無敗馬オーサムリザルトにビタ付けされて余裕で交わされての2着。12日後(!?)にフェブラリーSに出てビリの16着。これはもうJpn1馬に対する扱いではない。
その後メンタル的に良くない状態が続く。
エンプレス杯は無敗馬オーサムリザルト、同世代のライバルであるテンカジョウと同時に出ることに。ここではオーサムリザルト包囲網を敷いて、最後テンカジョウをアシストする形になってしまい、この2頭の後塵を拝す3着。距離も長いのではという鞍上のコメントがあった。続いては1600mレースのスパーキングレディカップ。斤量58kgという60kg換算の負担にも苦しめられ、やはり逃げられなければ脆いのでフェブランシェに逃げ切られる。そしてレディスプレリュードでの大敗。ここでも「押しても進んでいかなくて…」というコメントがあり、2024年レディスクラシックを制することになるその前哨戦、マリーンCとは全く違う臨戦過程になったのだった。

 2025年JBCレディスクラシックは1番人気にオーサムリザルト、2番人気にテンカジョウ、3番人気に初ダートでレディスプレリュードを制したビヨンドザヴァレーと続き、前年覇者アンモシエラは7番人気単勝23倍に甘んじていた。昨年のマリーンC大敗でも8倍だったが、前述の1年勝ち無し・斤量恩恵無しという視点から、遺憾ながらも妥当な評価に思えた。 家に帰ってJBC特番見ていたらコメント入れてる記者?が「メンタルが心配。牝馬特有の危うさで前走負けている」と分析していて、ほとんどの出資者と同じような認識だったと思うし、本馬の評価としては誤っていなかった。あまり強調材料もなく、ここ1年は1,2番人気に毎回負けていることからも人気が高くなる要素は正直なかった。初ブリンカーが結果的に功を奏すことになるけどどれだけの人が注目したのか。

 ゲートが開く。逃げたい馬は2頭。何が何でも逃げなければならないアンモシエラと、前走逃げて中央の評判馬2頭を退けた軽斤を生かしたいプラウドフレール。アンモシエラは伸びあがるようなスタートも押して逃げる。プラウドフレールは五分では出られず。さらにアンモシエラの直後に控えるためにオーサムリザルトがカットインしてきて手綱を引かざるを得ず馬群の中へ。逃げ馬でこれは厳しい。
そもそもなぜオーサムリザルトは逃げないのか。エンプレス杯で逃げてパフォーマンスが微妙だったのと、先頭に立つとソラを使うこと、クイーン賞でアンモシエラをつついて交わして勝ったこと…などがあるのでハナには立たない。また、ブリーダーズGCで前激化からライオットガールに差し切られてるので、ブリンカーをつけてまで逃がしに行く横山武史を制して前に出ようとするかと考えるとそれも取り辛い選択肢のように思う。
 逃げようとするプラウドフレールが馬群に包まれ、逃げられる力のあるオーサムリザルトが控えた結果、アンモシエラの逃げで隊列が決まる。そしてもう1頭、後続の位置取りを決めるだけの力を持つテンカジョウは出遅れていた。
 スタートして600m~700mで手を動かす馬が増えてきた。後方の馬は早速勝負圏外に置かれ、2着に入るテンカジョウはもうスパートをかけていたし、グランブリッジとライオットガール、ビヨンドザヴァレーは明らかに向かない流れで消耗戦に引っ張り込まれていた。オーサムリザルトも持ったままコーナーに入りたいはずだったが3コーナーから手を動かさざるを得なかった。
どれくらい厳しい流れか。

クイーン賞:前半1000mが1:02:6、11秒台の区間無し、ラスト200mが13.0秒
2025JBC:前半1000mが1:01.0、0~400mで11秒台、ラスト200mが14.2秒

同じ競馬場、同じ距離でも入りがこれだけ違って、上りも全馬がバテバテになる全馬が苦しい消耗戦。なんせ上がり最速が39.3秒で、アンモシエラが40.0秒で逃げたのに上がり3位になるくらい。決着タイムもJBCのほうが0.9秒遅い。これだけ厳しいレースを引っ張ったうえで止まっても逃げきるというのは「自分の強みが生きるレースはどんなラップか」を鞍上が考えて実行した結果。後ろの足を削って自分がバテ逃げするという型に持ち込んだからこそ。これがクイーン賞と同じペースならまたオーサムとテンカジョウに先着されていただろう。最終コーナーでオーサムリザルトを置き去りにし、ほかの全馬の脚を削り、最後の最後上がってきたテンカジョウを抑えきってJBCレディスクラシックを連覇。見ていた私は直線、ゴールするまで頭を抱えていた。

 
セレブレーションをするレバンガ北海道所属・富永啓生選手(イメージ図)

 

 勝負を分けたのは苦しいレースをしてきた経験、そして勝負根性だと思う。これだけ厳しい流れはアメリカ式のレースラップ。能力もさることながら走り切る根性、止めない根性がものを言うレーススタイルで、揉まれてきた馬こそ強い。主戦が変わってからずっと乗ってきた横山武騎手だからこそ理解して、何が何でも逃げて、勝率の高い型にはめ込んだというすべてがアンモシエラに向いたレースだった。バスタードサフランとダブルハートボンドは賞金足りなくて出られず、プラウドフレールが前に行けず、フェブランシェはアメリカへ。当日は前残りの傾向も発生して、この場に向かう流れすべてがアンモシエラを後押ししていた。強力な逃げ馬だということ、絶対引かない馬だということは周りに認識されていたと思うし、今回ここぞという時にブリンカーを着けた(一般的には着け続けると効果が薄れると言われている)ということでここにかける意気込みも違った。テンカジョウにはマリーンC、エンプレス杯で負けた。オーサムリザルトにはクイーン賞で負けた。でも牝馬の大一番、JBCレディスクラシックではテンカジョウに2回勝った。オーサムリザルトにも1回勝った。

(ちなみに女王決定戦に賞金足らず出られなかったダブルハートボンドは7戦6勝で重賞1勝、獲得賞金1億2169円)
テンカジョウ:12戦6勝 マリーンC、兵庫女王盃、エンプレス杯←重賞3勝、獲得賞金1億8520万円
オーサムルザルト:11戦8勝 エンプレス杯、ブリーダーズGC、クイーン賞←重賞3勝、獲得賞金2億63万円
アンモシエラ:18戦5勝 ブルーバードC、JBCレディスC、JBCレディスC←重賞3勝(内Jpn1を2勝)、獲得賞金2億3018円 

この路線で誰よりも多く走って誰よりも多く負けたけど、誰よりも稼いでいるし誰よりもグレード1のレースを勝っている。それがアンモシエラ。21年生まれの牝馬では4056頭のうち獲得賞金で6番目。5位以内はすべて芝馬のため、ダート馬では世代ナンバーワン。ダート馬というくくりでも、牡馬混合でフォーエバーヤング、ミッキーファイト、サンライズジパングに続いて4番目。牡馬を混ぜてもダート馬では世代トップレベルに実績を残している馬なのだ。

陳腐な言い分だとは思うが、負けたことが財産になる…本命の大レースで負けなければいい。一番星だけは譲らなかった。ありがとうアンモシエラ。目指せ、前人未到のJBCレディスC3連覇。


アンモシエラ②・フェブラリーの是非に続く予定

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